あのね、桜ちゃん

桜ちゃんには言えないけど、あたしが本格的に歌の道を歩もうと決めた理由は、もうひとつあるんだよ?


でも、挫折してしまった今

その理由を言うことは永遠に出来なくなってしまったけれど…






でも

その時のあたしは、桜ちゃんが何を捨てて、この温泉を継ごうと決心したのか知らなかった。

いや、知ろうともしてなかったんだ。

自分が苦しいっていう事しか頭に無くて、桜ちゃんの気持ちを思いやる余裕等など、欠片も持ち合わせていなかった…