『あなたの声は コンクールには向かないわ』 分かっていた。 前から薄々気が付いてはいた事だ。 でも、慕っている先生からキッパリ言われる辛さは想像を絶するものだった。 先生が何か慰めるように言っているけれど、もうあたしの耳には届かない。 母の好きだったアヴェマリア それをいつかステージで歌いたかった お母さん、ごめんなさい…… 花乃(かの)は、お母さんとした最後の約束を、 守れそうに有りません……