「さぁ、そろそろ帰るか!」


木下サンはあくまでも明るく言う。


「送ってくよ。家まで、ナビして?」


や、やばいッッ。


「や、……いいですっ!
あの、あたし…、ちょっと寄りたいトコあるんで、えと……、
待ち合わせた駅で降ろしてくれますか?」


木下サンは、焦ってるあたしを見て不思議そうな顔してる。


「んー、そうか?
わかった。そのかわり、気を付けて帰れよ?」


「ハイ!!」


木下サンはエンジンをかけ、駅へと向かい車を走らせる。



良かった……。


家は知られたくない。



だって………

気付いてしまったから。


わかっちゃったから…。


だからあたしは…、木下サンの話しの途中、泣きそうになってしまったんだもの………。



苦しいよ………

木下サン――







お姉ちゃん――――ッ。