「俺の……前の彼女。

……死んだんだ。2年前に。」


「え!?!?」


「交通事故でね。あっけなかったよ……。

その彼女は、当時大学生で卒業間近だった。

卒業したら、婚約して、1年後には結婚しようって話しになってた。

その事故の少し前に、今の彼女と知り合ってたんだけど……

事故の後、俺、かなり参ってて…そこに彼女が告白してきたんだ。

私があなたを救うからって。私が彼女を忘れさせてみせるって……

俺は、そんな彼女と、付き合う事にした。

弱ってたからとかじゃなくて……なんだろう……。

彼女に同情したのかもしれない…。
―――フー…。」


木下サンは俯いてため息をついた。


「普通なら、同情されるのは俺なのにね。でも、彼女を見てたら……こんなに必死になってくれてる相手を断る事なんてできないって思ったんだ。」


あたしは木下サンとは逆に、上を見上げた。


涙が……


こぼれそうだったから…。