真っ白な世界。




それが、今までわたしが住んできた場所だ。




これからもずっと、わたしはここに住み続ける。




色とりどりの外の世界に行くことは、もう出来ない。




ベッドに腰掛けて窓の外を眺めながら、わたしはふぅと息をつく。




雲ひとつない良い天気。名前も分からない鳥が空を旋回し、とても心地よさそうだ。







「……外の世界に、行きたいなぁ」






外に出ることができないと分かっていながらも、やっぱりあんな光景を見てしまうと行きたいと思ってしまう。





無意識にぽろりと零れた言葉に苦笑して、わたしは静かに瞳を閉じた。





無理だと分かっているからこそ、外の世界の思い出に浸る。





我ながら……かなり悲しいんだけど。





生まれつき心臓に疾患を持っていたわたしは、ほんの数日前に余命宣告がくだされた。




――余命、あと半年。




余命宣告がくだされた時、わたしはあんまり驚かなかった。




だって、自分のことだもん。薄々気づいてたよ。




昔以上によく身体を壊してやっとのことで入れた学校を休む日々。




自分の身体がゆっくりとおかしくなることを感じながらベッドにもぐりこんでいた時ほど、辛いことはなかった。




「死」と言うものが怖くて学校を休むたびにベッドの中で一人で泣いて、何度も何度も生きたいと願ったけれど、それは無理なことだともちゃんと分かっていたから。




余命を告げられた時、「あぁ、わたしあとそれだけ生きられるんだ」ってそう思った。




思った以上に長い期間だったから少しホッとして、それだけしか生きられないことが少し悲しくてここ数日はちょっと複雑な気分だったけど今では少し気持ちの整理もついた感じ。




数日しか通っていない学校をやめて、これから死ぬまでの半年間わたしは病院で過ごすことになる。





楽しいことなんて望んでない。わたしが望んでいるのはただ一つ。




苦しまずに死ぬこと、ただそれだけだ。