けれど抵抗出来たのは身を固くする事くらいで、あたしは結局迷っていた。


縋るような手つきで、彼の指先がシャツの前を器用に脱がし、彼の身体が重みとなって現実を突きつけてくる。

あたしは、“この手”の人間には弱い。とてつもなく。


けれど―――口はある。身体が抵抗出来なくても、喋る事は出来る。

あたしは震えた唇に気付かないフリをして、ゆっくりと言葉を発した。


「やめて下さい。」