「…は?」


は?今、今輔さん何て。


俺は開いていたスポーツ新聞を閉じ、充分煮てきた模様のカレーの存在を頭から一瞬で消し去る。

輔さんは麦茶を飲み、溜め息をつきながら再度言う。


「逃げ出して、今別邸周り捜してるけど居ない。やられた。」

「―――…」


逃げ出した、って…。


「……度胸、あんな。あの女」

「でも結局、耐えられなかったっつー事だな。所詮はただの女だよ。」