「だったら、何であたしを捕まえようとしたんですか?あたしが誰かに貴方の事を言うのが怖かったから、」 がん、と鉄を舐めたような味がした。 物が少ない部屋だったおかげで、床に転がっただけだったけど。頬が熱を帯びて泣きたいほど痛かった。 いざ殴られたとなると、妙に冷静になる自分がいる。 だって貴方は――― 「墓穴を掘りましたね。傷害罪として、貴方はもっと怖がる事になる。」 「………うぜぇ女。」 「これが取り柄なので。」