だって、あたしだって少しはムカついてる。 生きて、生きないと。そんな思いで逃げ出したのに、捕まってしまった。やっぱり悔しい。 あたしは、彼が嫌いだ。大嫌いだ。踏み込んで―――滅茶苦茶にしたいほど。 あたしは彼を見据える。彼が目を反らしてくることはない。それが彼のプライドだから。 なるべく感情のない声と顔で、息を吸う。 ここで感情を露わにしたら、相手のペースにしてしまう。余裕を与えてしまうから。