どれだけ否定したって、あたしの記憶に住宅地があるのは事実だ。

そうなれば、あたしは誰かに助けを求める事が可能になる。もう逃げる気力なんてないけど。


彼は信用しない。

ただ射抜くような双眼が、冷たい空気が、この一室を凌駕している。


「此処は俺の寝床だ。」

「は、はあ…」

「テキトーに使え。今度逃げたら、お前の存在ごと消す。」


些か冗談に聞こえない。この人はどうして執拗なのだろうか?