気が抜けたあたしは再び視線を落とし、額に貼ってある効果のなくなった冷えピタを触って思う。


(日向君、だな。)


何故かそう思った。しかも、確か眠りに落ちる前に彼の怯えた顔を見たような気がする。


日向君、輔さん、そして―――鶴来さんの持つ、闇。

確かに此処は、抜け出せない沼にもがいているような錯覚に陥る場所のようだと思う。

闇が集まりすぎて、光を見失った場所。

まあ、あたしだって“光”を振り切って闇に飛び込んだのだから、何とも言えないけど。