一気に力が抜け、見上げた視線を下に戻す。

全てが黒く綺麗な顔をした彼は、持っていた御盆をテーブルの上に置く。一連の動作が無造作なようで、綺麗だ。


あたしは無言。

彼、鶴来さんも暫く無言だったけど、あたしより先に口を開いた。――予想外の言葉で。


「この生活がキツいか。」


一瞬、あたしは疑うような目を向けてしまった。だって、今、この人。


「気遣うんですか?」

「………別に。聞いただけだ。」