「あれ?……何で俺、こんなとこ来てんだ?タバコ買いに出たのに……気持ち悪りぃ」

路地裏に入って来た前嶋の様子を物陰に隠れながら窺う。

「もう操ってないんで、逃げられる前に殺りますよ」

火茂瀬が耳元で呟く。

「結界は?」

「張ってあります」

僕は死体に触れているから平塚の記憶を見たし、火茂瀬は平塚の霊に教えてもらえるから殺るのに問題は無い。

結界のお陰で、目撃される事もない。

だが、やはり無計画というのは心配になる。

計画を立てる為に、火茂瀬に見せようと思って前嶋が使用した物と同じナイフをコートの内ポケットに入れておいて良かった。