入学式の会場には既にたくさん人がいた。決められた座席に座る。
座席には名前が書いていて 探すのにも少し苦労するぐらい かなりの量の入学生がいるみたいだ。

「名前順じゃないんだね」

みた感じ名前順に並んでない。だから余計に苦労がかかっていた。

「あ わたしはここみたい」

鞠香が先に見つけると その斜め前が千由だったのか千由もすぐに見つけた。

「にしても なんでこれ……2つペアになってるんだろう」

千由の言うとおりだった。椅子は2つずつひっつけて並べられていて なんだか違和感がある。 

「隣の人誰だろ……女の子かな?美也ちゃん……?」

千由の隣の人の名前は女の子みたいだ。
鞠香も見てみると どうやら男子っぽい名前である。

「三木坂輝(ミキサカ ヒカル)……?男の子かな」

でもヒカルなら女の子でもいける名前だ。

「あ それ男の子だよ!」

「え?」

「だってそれ……」

千由が何かを言い掛けた時だった。千由の頭にポスッとチョップが降りかかる。

「千由……探したぞおい」

「輝!」

輝……?じゃあ……。

「あ 鞠香ちゃん!この人がわたしの幼なじみの三木坂輝」

やっぱり。昨日言ってた幼なじみって男の子だった。
鞠香はとりあえず挨拶するためにもう一度立ち上がった。

「初めまして。わたしは栗鈴鞠香っていいます」

「ああ よろしく。俺は三木坂輝」

「えっと……千由と寮の部屋が同じになって」

そう簡単に説明すると 千由の頭をポンポンと軽くたたく。

「あーなるほど。だから仲良くなったってわけか。こいつバカだけど良い奴だから仲良くしてやって」

「あ うん……」

「バカじゃないー!」

「はいはい……」

この2人仲良いわね普通に。
これなら 千由も身内がいなくとも安心できるんじゃないのかな。