そして下を見る。下まで100メートルぐらいあり よく見えない。けど ここまで悲鳴が聞こえたぐらいだから近いはず?と上を見る輝。

「鞠香!」

屋上には 1人の少年がぶら下がっていた。それに手を伸ばしている少女。しかし 少年は手の届かない位置でぶら下がっている。

鞠香はその場から魔法で少年を支えようとした。しかし ワンドが無いし人間ほどの大きくて重い物を簡単に持ち上げれない。こんな時に限ってワンドを持ってきてない。ワンドさえあれば簡単なのに……。

「う……」

少年は手を滑らせそうである。このままじゃまずい。下の者は気づいてない。落ちる……。

「ちょっと 輝も手伝ってよ!B級以上あるんでしょ!」

「……鞠香……」

鞠香は功績とか関係なく 本気で誰かを助けたいと思っている。そうわかった輝は 鞠香の横から手を伸ばした。すると 少年は軽々浮き上がった。
鞠香は驚いて 思わず魔法を収める。しかし簡単に浮かび上がる少年。な……なんで?ワンドもないくせに……。
少年は魔法で屋上に押し戻された。

「……な……なに なんで!?」

「そういや言ってなかったっけ……俺 S級魔法使いなんだ……」

「……S級……って は!?主席なの!??」

輝は頷いた。

「ごめんごめん……でも鞠香もA級のこと黙ってたんだからおあいこだよな」

「おあいこじゃないわよーっ!有り得ない有り得ない!!バカーッ!」

顔を真っ赤にさせた鞠香はそれだけ叫んで行ってしまった。

「……」

その後ろ姿を見て 輝は小さく笑った。

「変な奴……」