そして悪夢のような始業式は終わり下校時間。

「ええっ!!今日一緒帰れないの!?」

「ごめん!ちょっと眼科に寄って帰らないと行けないから、帰り道反対方向なの。」

陽菜乃は顔の前で手を合わせて謝る。

「そっか。わかった!じゃあ、また明日ね!!」

「明菜ごめんね。じゃバイバイ!」

はぁ。陽菜乃とファミレスにでも寄って帰ろうと思ってたのに……。

まあ、仕方ない。帰ろう。

「あーきなっ!!」

ビクッ!

後ろから誰か呼んでる。

誰かは分かってるけど、振り向きたくない。

「おーい明菜ー!!!」

やばいっ声が近づいてきてる!

「聞こえてますかー?」

にっ逃げろ!!

「あっおい!待てよ!!」

あたしは急いで校門をくぐり抜け全力疾走した。



「はぁっはぁっ疲れたぁー!!」

あたしはとりあえず公園のベンチに座った。

「明菜って足速いなぁ!」

「そう?へへっ…。ってあああっ!!?」

三上光一!!?

「どうしてここに!!?」

「言ったろ?俺はあきらめへんからな!って」

「そっそんなの知らない!!」

そして、あたしはベンチから立ち上がり公園から出て行こうとすると、

「待って!!」

と、手首を掴まれた。

「もうなんなのよ!」

「俺じゃダメなのか?」

ドクンッ

えっ?なにこれ!?

胸を締め付けられてるような。ズキズキする!

「なぁ。明菜。俺にダメなとこがあるなら直すよ?」

「えっああっ……。」

「ねえ。明菜……。」

三上光一のダメなとこ?

「じゃあ、あの、呼び捨てはやめて?」

「えっ?俺のダメなとこってそれだけ?」

「えっ?ええっとぉ……。」

「いや、無理に考えんでもええ!!じゃあ、明菜ちゃん?でいい?!

いや、それもどうかと思うけど……。

「うっうん。」

「ほな、分かった!じゃあ俺のことは光一君でええよ!!」

ええよって……どんだけ上から目線なんだよ。

「じゃあ、帰ろっか?」

「うん。」

すると、光一君は手を差し出してきた。

「手は繋がないよ。」

「…………。」