今日は、いつもより早く起きた。


自分の部屋を出て、階段を下りると、


シーンと静まり返ったリビング。


あたしの家は一軒家。結構立派な。
一人暮らしなのに。


あたしのお母さんは、あたしが、生まれてすぐ病気で死んだらしい。


あたしには、お母さんの記憶がない。


で、お父さんは船乗り。で、船長。


だからめったに帰ってくることはない。


で、そんなお父さんから昨夜、電話があった。


『もしもし!明菜か?元気か?ちゃんと食べてるか?』


「明菜だよ。元気だよ。食べてるよ。どうしたの?」


『いやぁ、な。明菜の声聞きたくて。』


「うそでしょ。お父さんがそんなことで電話する訳ない。」


『あははっ!鋭いなぁ。その通りだよ。』


「どうしたの?なんかあった?」


お父さんは、ワンテンポおいて、


『あのな、さっき思い出したんだけど………。



お母さんが、明菜に残したビデオがあったんだよ!!』



「え………!?」


うそでしょ!?本当に?


『確か俺の書斎の机の引き出しにあるはずなんだ。多分。』


「どうして今まで言ってくれなかったのよ!」


『そんなことはいいから!!お父さん忙しいからもう切るぞ?』


「はぁーい。じゃ、またね。」


『じゃあな。』


プツッ