「んー!!やっぱ山はいいねえ!」

と、陽菜乃は言った。

「けっこー行けるかも!空気おいしいし。」

と、あたしは、言った。

「いや、お前ら油断すんな。35kmだぜ?」

ゲッ。35kmだっけ?

「ちょっとぉー!総ちゃぁーん。それを言っちゃぁダメでしょ!」

「そうだよ!葵君!明菜のテンションがた落ちだよ!!」

ごもっとも。

「わ、わりー。わりー。」


と、そのとき

ドンっ!

「痛っ!」

後ろから誰かにぶつかられた。

「あら。ごめんなさぁーい?全然見えなかったわー。」

徳本さんだ。最悪。

「ってめー!まだ懲りてねーのかよ!」

「違うのよ。三上君。星野さんに話があって来たの。」

話?

「星野さんちょっと来て。」


あたしは、道はずれの草の茂みに連れてこられた。

「ちょっと!なんなの?」

あたしがそう聞くと、

「さっきはバスの中でごめんね?」

「は?」

「あたし、あのときついカッとなっちゃって。」

ウソつけ。そんなわけないでしょ。

「でさ!お詫びに今日一緒にプリとりに行こ?」

はぁ?なんでそうなんのよ!

「お近づきの印にね!んー。遠足が終わったら、紫駅で待ち合わせね!じゃ、バイバイ!」

「えっ!ちょっ、待って!」

あたしは徳本さんを呼び止めたものの、徳本さんは走って行ってしまった。

「もう、なんなのよ。」