「ここで、いいかな。」

あたしは川本君に連れられて体育館の裏に来た。

「ねえ、あたしに何の用なの?」
そう聞きながら、密かにドキドキしている。

だって、体育館の裏だよ?
あれしかないんじゃない?

「望月。一度しか言わねーからちゃんと聞いとけよ。」

ほら。あれでしょ?
どうしよう。あたしは、葵君が好きなのに。

川本君は大きく深呼吸をした。

そして、真剣な眼差しでこちらを見た。

「望月。俺とつきa「川本ーーー!!」

「「え?」」

なんとそこには、

「あっ葵君!?」

「総一郎!!?なんでそこに……。」

「川本ーーー!!お前本気で許さねーぞ!!」

全速力で走ってくる葵君。

「ちっちげーよ!!待て!誤解すんな!!

と、全力で否定する川本君。

「くらえっ!!必殺!跳び蹴り!!」









「え、罰ゲーム?」
葵君は抜けた声で答えた。

「そーだよ。だから誤解だっつったじゃん。」
川本君は腰をさすりながら言った。
葵君に跳び蹴りされたところだから。

「ババ抜きやってて、おもしろくなかったから負けたヤツはクラスで一番マシな女子に告白するっていう罰ゲームをつけたんだ。俺が。」

「で、言い出しっぺが負けたと。」

あたしがそう言うと、葵君はコクリと頷いた。

「待て。一番マシな女子ってのが望月だったのか?お前。」

「いっ!!いや、マシだぞ。マ・シ!!勘違いすんな!!」

「罰ゲームだったんだ。ちょっとドキドキしたよ。」

「ごめんな?望月。罰ゲームにつき合わせちゃって。」

「ううん。別にいいよ。」

「ってかさ。思ったんだけど。」
川本君は葵君に顔を向けた。

「総一郎。なんでお前が怒ってんだ?」

「え?」

「だって、望月はお前の物じゃないし。」

確かに。なんで怒ってんだだろ。

「バッバカ!!そんな事はいいだろ!」

「いや、気になるだろ。なあ?望月。」

あたしはコクリと頷いた。

葵君の顔はみるみるうちに赤くなっていく。

川本君はニヤニヤしながら、
「じゃ、そういうことで。お騒がせしました。」
と、教室に、帰って行った。


わぁー。2人っきりだよぉー。
なんだか、恥ずかしくてお互い顔が見れない。

「望月。」

ギュッ

「えっ!?」

今あたし、抱きしめられてる!?

「俺、望月のことが好きなんだ。」

ドックン

胸が、波打った。

「ずっと好きだった。いつもお前のことばかり考えてた。」

「あたしも。」

「え?」

「あたしも。ずっと好きでした。」


こんな日が来ると思わなかった。
葵君はカッコよくて、人気者だったから。
いつも見てるだけだった。

「望月……。」

そして、あたし達は甘いキスを交わした。