ー昼休み。

見上げれば雲一つない青空。

「んー!屋上は気持ちいいね!!」
と、あたしは言った。

「そーだね!」
と、陽菜乃は答えた。

教室にいてもヒマだし……。

運動場に行っても男子が遊んでるし……。

図書室は静かでイヤだし………。

ってなわけであたし達は屋上に来てみた。

「あっ!飛行機雲!!」
陽菜乃は空に人差し指を突き立ててそう言った。

あたしは、空を見上げた。

「ホントだぁ。」

青い空に一直線にのびている飛行機雲。

「明日は雨だね。」
と、陽菜乃は言った。

「えっ!?なんでなんで?」

「だって、飛行機はもう通り過ぎてんのに、まだ、飛行機雲残ってんでしょ。」

「ホントだぁ!」

「空気が乾いてたら、飛行機雲は蒸発してしなくなるけど、雨が降る前は空気が湿ってて、飛行機雲は蒸発しにくいの。」

ぐはっ。すげー。

「陽菜乃よく知ってんね。」

「まぁね。」


と、その時。

屋上の扉が開いた。

あたし達は勢いよく扉の方を見た。

屋上に上がって来たのは、同じクラスの川本君。

1年生の時も。あたし達と同じクラスだった。

髪の毛を染めていて、ネックレスや、ピアスもつけてて、まあクラスに1人はいるチャラ男。


「あっあの、望月、ちょっといいか。」
川本君は照れくさそうに、頭をポリポリと掻いた。

あたしは、この時川本君が、陽菜乃に何の用なのかがすぐに分かった。

「えっ?あたし!?」
陽菜乃はそう聞くと川本君はこくんと頷いた。

「明菜、ちょっと行ってくるね。」

「うん。OK。」

そして、川本君と陽菜乃が出て行くのが分かるとあたしは急いで、運動場へ走った。