「パテのこと」



「…」



ますます眉間にしわを寄せている。



「好き?」



「当たり前でしょ。バカにしてんの?」



即答



でもほんのりほっぺたが赤い



お嬢さんは本当にパテが好きなんだなあ



だから最後にひとつだけ




「あなたは今幸せ?」




ちょっとびっくりした顔のお嬢さん



でも、すぐに答えてくれた。




「すっごい、幸せ。」



ちょっと泣きそうになったけど、少し我慢。


これで私の課題はおしまいだ。


「よかった。引き止めてごめんね、ばいばい。」



「…ちょっと!」



今度はこっちがびっくりする番。



「あなたはどうなの!?パティシエが取られて不満じゃないの!?」


「私達は双子だよ?大事な片割れがすっごい幸せなのに、不満なわけがない。」



「…」



背を向けて歩き出す。

両手に抱えきれないほどの幸せな思いを感じながら。