試験場を出ると、



「ピン!」



パテが手を振って駆け寄って来た。



「パテ」



「俺、今回のテストいい感じだったんだ!」



「おお、よかっ…」

「パティシエ!!」




パテの背後から、鈴を転がしたような声が聞こえた。





「なんで置いていくの!角曲がった途端走り出して、バカ!」



「悪い悪い!あ、ピン。この子が俺の彼女のお嬢。」



桜色のシュシュに袴を着こなしたお嬢さんが少し頭を下げる。



それからすぐに顔を上げて、
「早く行こう」とパテを促した。




「じゃあまたなー!」




ひらひら手を振って遠ざかっていく。