「なっさけなー…」



小さく呟いてグイッと涙をまた拭う。



「絵描き」



開きかけた教室のドア


そのドアを必死で押さえる。



「開けろ、絵描き!!」


「で、出てこないで!」


「お前、泣いてんだろ!?ずっと1人でそんなになるまで抱え込んでたのか!?」


「何でもない、何でもないから…!」


「ピン!!」





ものすごい力でドアが開かれた。

勢いでひっくり返り、唖然とする。



今、ピンって呼んだ…






「なんつー顔でなんつー格好してんだよ、お前は。」



手を引かれて立ち上がる。



「ばーか」




ぐしゃぐしゃ髪を撫でられると、更に涙が溢れてきた。




「…っ」



こんなこと、竹刀にしかしちゃいけないのに。



竹刀がこんな気持ちにならなくちゃいけないのに



なのに、どうして私の心はこんなに脆いのだろう。





ピンって呼ばれて嬉しかった

ぐしゃぐしゃ撫でられて顔が熱かった

掴まれた手を、ずっとそのままにしてほしかった。