孝さまからの伝言?


「―私に?」


目をぱちくりとした私に、桧周さんは「ああ」と言ってうなずいた。




桧周さんの帰る姿を見送ったあと、お言葉を頭のなかで噛みしめながらリピートした。


桧周さんから聞いた、孝さまからの伝言。


孝さまの元へ行けなかった私へのお言葉。




『琴湖。ゆっくりおいで。オレは必ずどこかにいるから』




ふつふつと、わき上がってくる。


何だろう、この感情は。


そうだ、これは、生きる希望だ。


もっと頑張ろうって奮い立つ、孝さまのお言葉は、まさに特効薬だ。




「綾人さん、お願いがあります」



グリーン☆マイム本部の扉を開けて入るなり、勢いそのままに綾人さんに頼んだ。


「私にも、何かお手伝いさせていただけませんか?」



綾人さんは、要領を得ずキョトンと目を見開いた。



「雑用でも、掃除でもお茶くみでも何でも結構です。

グリーン☆マイムのお手伝いをさせて下さい。

もちろん、帰ってから必ず両親の許可は得ますので」



いきなりのお願いに、綾人さんは、しばらく考え込んだ。


緊張しながら、答えを待つ。


綾人さんの目が、ふと思い立ったようにパソコンに向けられた。


「琴湖ちゃんて、パソコン使える?」



「ええ。多少は」


不思議に思いながら、うなずく。


綾人さんは、ニッコリ笑った。


「桧周くんが撮ってきてくれた写真をホームページにアップしたいんだけど、任せて良いかな?」


「はい!もちろんですわ!」



始めたい。何か新しいことを。


その過程の中で、見つけて行きたい。

私にしか、できないことを。



そして、いつか、大きく変わった私の姿を孝さまに見ていただくんだ。