これで孝さまには写真家という肩書きがついた。


何をしてもすぐ人並み以上の孝さま。


写真を撮ることを始めたのは、高校に入ってからだと聞いたけど、プロ顔負け、いいえ、もうプロだわ。



写真集を購入し、本屋から出たところで、

「あら、大変」

道の段差で往生している車椅子の人を見つけた。



私は、車椅子を押し、車輪を進行方向へ向けて差し上げた。


車椅子の人が、私に顔を向けてお礼を言った。


「ありがとう」


「もっときちんと道の舗装をすべきね。

…あら、綾人さん」


助けて差し上げてから気づいた。


車椅子の人は、文城 綾人(モンシロ アヤト)さんだった。