看護師にはなれないみたいって孝さまに言ったら、いつになく悲しげに微笑んで、ただただ私を抱きしめた。


孝さまらしくない。と思った。



あとから知ったけど、当時、松葉グループの後継者だった孝さまも、たくさんのものをあきらめてきていた。



それ以来、何かになりたいと考えたことない。




だから困るの。


将来の目標なんて聞かれても。



結局、何も書けなかった短冊は、鞄の中だ。