白雪は、真っ白のままのあたしの進路志望用紙に視線を落とした。


「あたし、琴ちゃんが、誰か、もしくは何かに、琴ちゃんらしくないくらい夢中になってる姿見たいなァって思ってるんだよね。

このまま大人になるなんてもったいないじゃん?」



「…夢中になるって、例えば?」


「恋だよ、恋♪誰かいないの?

琴湖の王子様♪」



王子様…ねぇ…。


つまり白雪は、私を巻き込んで、その辺の女子たちが花を咲かせているいわゆる恋バナで盛り上がりたいってことなのね。


…そういう年頃ってことね、と納得したらカチンと力が入っていた肩が脱力した。



王子様…ねぇ…。


だけど、自分が、白雪相手にキャーキャー恋バナしてる姿がどうしても想像できなかった。

元々そういう性格じゃないんだもの。