唇を離せば俯いて顔を見せてくれない桜音。


俺はクイっと顎を持ち目と目が合うようにする。


「ち、ちょっと、なにするんですか……」

「目合わせてくんないから」

「恥ずかしくないんですか?琥珀くんは…」

「さぁ~…どうでしょ」


俺だって恥ずかしいに決まってる。


でも、それを桜音に知られたくなくて嘘ついちゃっただけ。


「私に意地悪して楽しいですか…」

「うん、楽しい。男ならみんな楽しいんじゃない?好きな子に意地悪すんの」

「男の子って悪趣味ですね」

「でも女の子の方も満更ではないと思うけど」

「うっ!わ、私は嫌ですからっ!!」


桜音も多分、嘘ついた。


桜音は絶対に俺に意地悪されて喜んでるだろ。