卒業式の朝は、郁理と彩葉ちゃんはスーツを着て忙しそうにしてる。
だから、琥珀の面倒見役はあたしの仕事。
「いってー!もうちょい優しくしてくれてもいんじゃね!?」
「知らないわよ!自分で穴開けたのに、自分で消毒しないのは誰!?」
「……っ…ごっ、ごめんなさい…」
「はい!できたから、とっとと学校行く!」
左耳を手で押さえながら走って2階へ上がる琥珀。
その制服姿見るのも最後なんて、成長してるんだね~ちゃんと。
「笑ちゃん!郁理くんと彩葉ちゃんに学校行ったって伝えといて!」
「わかったから早く行かないと~……涼ちゃん待ってるよ?」
「じゃっ!行って来まーすっ」
「行ってらっしゃい」
琥珀を見てると、自分の卒業式を思い出す。
式が始まるまで卒業する実感が湧かなくて……
蒼空くんにリボンをあげたあの時が懐かしいねっ。