花火打ち上げを待つこと一時間。


薄暗くなってきた教室で、ずーっと上機嫌で話してる桜音ちゃん。


「それで~……って琥珀くん!聞いてます?」

「あっ?も、もちろん聞いてる!」

「ですよね~♪そろそろですかね、花火!」

「つーかもう打ち上げ時間過ぎてんだろ……」

「準備に多少の時間は掛かるものですっ」


空き教室の窓を開けて、身を乗り出す桜音が落ちないように腰を支える。


相変わらず細いな………。



ヒューー………バン!!


響くほどの花火の音と、一気に明るくなる教室内。


「花火~♪始まりましたよっ!キレーイ!」

「キレイだなぁ~……花火」

「さっき食べたかき氷みたいな色してますね!」

「イチゴね」

「メロンですよ~」


俺としては花火に夢中になってる、桜音に夢中。


花火に照らされる桜音の横顔の方がよっぽどキレイだ。


照れくさくて、絶対に言えないけど…。