夜になり、桜音のお父さんが帰宅した。


美音さんがわざわざ部屋に来て教えてくれたおかげ。


美音さんにお父さんの書斎に案内してもらい、軽くノックをして入った。


「久しぶりだね。琥珀くん」

「お久しぶりです。今日は話しがあって来ました」

「いいよ。聞かせてもらおう」

「俺………俺は医者になりません。とゆうか、なれません」


お父さんは一瞬ビックリした表情を浮かべて、コーヒーをすすった。


「医者にならずに何になるつもりなんだい?」

「まだハッキリ決めてはいません。なので姉と同じ大学に進学するつもりです」

「…それは琥珀くん、自分で判断した事だね?」

「はい。医者には…なれません。すいません」


俺が頭を下げると、頭を上げてと思ったよりも優しい声。


もっと怒鳴られたりするかと思った……。