やっとのことで桜音に会う当日。
桜音の実家だから、夏仕様に染めた金に近い髪をスプレーで真っ黒にする。
もちろんワックスも使わないし、ピアスもしない。
「おっ、彼女の実家?」
「郁理くん。見ての通り彼女の実家だぜ」
「緊張するよなぁ~。俺は彩葉がまだ幼なじみだったのが救いだった」
「羨ましいな、それ」
「あぁ、かなり楽だったぜ」
自慢気に話す日曜日のお父さんの姿な郁理くん。
でも今日は俺が出掛けた後に彩葉ちゃんと二人でデートらしい。
「じゃっ、行って来るわ」
「あ!琥珀!」
「なに?」
「避妊だけはちゃんとしろよ~。子供は結婚してからな」
「知ってるわ!つーか今日はヤれる状況じゃねーの!」
まともな助言でもしてくれると思った俺がバカだったな。
とりあえず、桜音との待ち合わせに遅れそうだから早く行こ。