まだ肌寒い外の空気が、あたしと蒼空くんが出会った春を思い出させる。
「ねぇ、蒼空くん」
「ん?どうしたの?」
「どうして、あたしを好きになったの?だって年上だよ」
「それはー………ホントに俺の一目惚れ」
「ちょっと照れる!」
優しく笑った蒼空くんが、あたしと繋いでる手をブレザーのポケットに入れた。
あったかい……。
「最初は少しお節介な人って思ったけど、やっぱり優しくて…」
「入学式の日ね~」
「うん。琥珀の彼女かと思ってずっと嫉妬してたし」
「あの時は…ごめんね?あたしの説明不足だったよ」
「ううん、でもやっぱ琥珀が羨ましい。笑花ちゃんと365日ずっといれるから」
背の高い蒼空くんを見上げると、頭をポンポンと撫でられた。
生意気な後輩って思ってたのが大間違い。
優しい優しい後輩だった。