サラや涼ちゃんと別れて、あたしと蒼空くんは久しぶりの帰路につく。


桜がほんの少しだけピンク色に咲いている。


「あ、そうだ!笑花ちゃんのリボンちょーだい?」

「あたしのリボン?どうして?」

「あれ?笑花ちゃんなら知ってると思ってたんだけどな…」

「……もしかしてネクタイの代わり?」

「ピンポーン!」


あたしの学校の卒業式では、彼氏が彼女に自分のネクタイをあげる風習があるの。


でも、蒼空くんとあたしじゃ年が違うから諦めてたんだけど………。


あたしのリボンをあげる手があったね!


「じゃあ蒼空くんに……はい!あげる!」

「ありがとう、笑花ちゃん。大切にする」


3年間お世話になった赤いリボン。


来年は蒼空くんの水色のネクタイがほしいな。


「それにしても蒼空くん偉いね~。休みの日に部室の片付けなんて」

「それね、俺と涼でわざと部室を散らかしたんだ」

「なんで?」

「そんなの笑花ちゃんに会いたいからに決まってんじゃん」


久しぶりに蒼空くんにドキドキさせられた…。


心臓の音が隣にいる蒼空くんに聞こえそう。