放課後、わざと軽音楽部の前を通ると新井くんがあたしに気付き走って来る。
犬みたいでかわいい。
「桜音ちゃん!会いに来てくれたの?」
「いやっ、えっと、その~…聞きたいことがあって…」
「なに聞きたいことって?」
「どうしてあたしにアピールするの?」
新井くんは少し考えた表情をしてパッと明るくなった。
「決まってんじゃん。桜音ちゃんが好きだから」
「女の子なら誰でもいいんですか?」
「そんなことない。桜音ちゃんだから」
「それ本気…なのかな」
「本気だけど、俺は」
トクン………
あたしの心臓が小さく音を立てた気がした。
それからドキドキと弾むように高鳴る。
あたし…どうしちゃったの?
新井くんのこと好き、だったり。