さやかの長ったらしい昔話に付き合って、店を出ると外は暗くなってた。
ギター取りに来ただけだったのに…。
「ねぇ琥珀?」
「ん?」
「また……会いたいな」
「連絡くれれば会うけど」
「やっぱ、なんだかんだ言って優しい…」
俺の制服の裾を掴みながら、下を向く。
さやからしくない……。
「えっと…じ、じゃあ!またねっ!」
「暗いから家まで送るわ。どーせそこまで遠くねぇし」
「いいよ!一人で帰れるから…。あ、でも……今日くらい甘えちゃおっかな♪」
「ほどほどにしてほしい」
この時間と暗さで一人にするのは危ない。
ここは、元カレとして家まで送ってやろう。
そこまで遠くないはず……。