【琥珀side】



クリスマス前日、寒くなった屋上にはさすがに行かない俺は美術室にいた。


五時間目の数学をサボるため。


美術のおばあちゃん先生は、優しくて俺に美術室を貸してくれる。


「先生ーありがとね」

「次の授業にはちゃんと出るんだよ~」

「はーい」


俺一人だけの空間。


美術室って案外広いんだなー……。


「琥珀くん見っけです」

「……お、桜音!お前何してんの?」

「サボりです。琥珀くん美術室にいると思って来ちゃいました」

「俺と一緒んなってたら単位足りなくなるぞ」

「…それもそうですねっ」


多分、俺のせいでサボり癖が完全についちゃった桜音ちゃん。


あんなに真面目だったのに…。


嬉しいの半分、罪悪感半分。