小山紫苑はプルタブを開けると緑茶の缶を私に差し出した。


 私たちは中庭のベンチに座っていた。


 さっきまで芹とマルタが座っていたベンチだ。


 小山紫苑は私が泣き止むまで何も言わず傍にいた。


 思い切り泣きじゃくって少しすっきりした。


 でも、ありえないくらいブサイクになってるだろうな?マブタが腫れているのが解る。


 きっとマスカラも落ちて悲惨なことに・・・


 「白根くんとは春休みに一緒に市民会館でパフォーマンスをしたんだ。あの時は楽しかったなぁ」


 小山紫苑は空を見上げ呟いた。


 「いい男だよね。勿論、中身も。もし部活に入ってなかったらアイドル部にスカウトしたいくらいだったよ」


 芹がいい男なのはあんたなんかより知ってるんだから。


 「芹は小学生の時からずっと私のことを思っててくれたの。でも、その時は興味がなくて、ヒドイこと言ったり、いいように利用したりしちゃってた・・・芹が私に興味がなくなってから芹が私にとってすごく大切な存在だってわかった」


 なのに、気付いたときにはもう遅くって芹は違う人を見てた。


 それが悔しくて悲しくて仕方なかった。


 自分勝手だってわかってるけど気持ちが治まらない。


 どうしたらいいかわからない。