彼女がにまぁと笑って、僕の方を見て言った。
「ねえ、今の気持ちを詩にすることってできるの?」
「えっ。」
彼女の突然の問いに戸惑ってしまった。
「あぁ、結構厳しい事言いますね。」
「あっ、ムリ?」
僕は他人に今すぐ詩を書けと言われても、書けないほうだ。
だが、彼女のにこやかな表情を見ると断れなかった。
「いや、詩、書きますよ。」
彼女をがっかりさせたくなくてそうはいったものの、今の僕の気持ちを聞かれるのはとても恥ずかしかった。
彼女は眼力は強くて、僕をせかしているようにさえ思えた。
   『あなたはどうしてこんなに青いのだろうか。
      僕の曇った心はあなたがいるだけでこんなにも清らかになる。
    あなたはどうしてこんなにやさしいのだろうか。
      僕に暖かな愛をくれる。
    あなたはどうしてこんなにつよいのだろうか。
      僕に壮大な勇気と力を与えてくれる。
    ちっぽけな僕はあなたの愛で生きているというのに。
     あなたは僕の愛にきづくのだろうか。』
彼女は僕が詩を詠むのをニコニコと見ていた。
「咲、どうだった?」
「なんかわかんないけど、あったかいなって思った。遼って、やさしいね。題はなんていうの?」
「空。」
「空か。いままで、空とかあんまり考えたことなかったけど、大きくてお父さんみたいだよね。」