「えっ!」

思わず俺はフェンスに駆け寄った。


紙飛行機はどこかに飛んでいってしまった。

呆然とするしかない俺。

女の子はフェンスに指をかけると、ボソッとつぶやいた。


「悪用されて困っちゃえばいいのよ…」

は?

悪用されて困るのは、お前だろ??


俺は訝しげに女の子を睨んだ。


女の子はそんな俺の視線に気付き言った。



「あの手紙。読んだ?」


俺は首を横にふる。


読まれて困ることでも書いてるのだろうか?


それなら紙飛行機にして、飛ばさないか。


女の子はニコッと笑って言った。



「あの手紙には私の名前も住所も書いてないの。書いてるのは相手の名前と住所だけ。だから君が心配しなくても大丈夫だよ」

おいおい。

相手に迷惑がかかるだろうが。