「もしもし、私」

「おう。今日はお疲れー。突然ごめんな。コーヒー飲むだけやったのにこんなことに……」

「いやもうそれはいいんだけどさあ……。あの、ハルトさんっていったいどんな人なの?」

「なんか言われたん?(笑)」

「いやあ……これと言って特に、は。前回と同じといえば同じなんだけど」

「じゃあなんでそんなどんな人なんって聞くん?」

「……また今度会えるんだったらメールしてとか言うの。それって業界の挨拶?」

「ないよそんなん(笑)。会いたかったらメールしてってそのまま、そのまま」

「会いたくなかったらメールしなくていいの?」

「いやまあそうやけど。2人で食事とか行きたいなあと思わへんの?」

「………」

「おーい、聞こえてるー?」

「聞いてるよ」

「ハルはええ奴よ。俺が保証する」

「じゃあもしええ奴じゃなかったら、どうしてくれるの?」

「なんでもする」

「(笑)。無謀すぎるよ、そのワランティ(笑)」

「いやほんまやで? 俺がなんでもするってくらいに奴はええ奴なんよ」

「普段から何でもするじゃんユウジさん」

「せーへんよ!!」

「ミニスカで男誘惑してって言ってもするでしょ」

「するかー!!」

「(笑)」

「ええよ、ハルがええ奴やなかったらしたるよ」

「えー、軽いなあ。そんなの誰でもできるよ」

「できんよそんなもん(笑)」

「じゃあ二丁目でもできる?」

「やったるやったる」

「すごい自信だね」

「でなかったら言うかいな」

「ふーん」

「いっとき。ええ奴やから。大丈夫」

「いっ、いっときって。どこにも行かないよ」

「ハルにいくんやろ?」

「別に……私、ユウジさんと2人の方が楽しいしなあ」

「俺のこと好きなん?」

「……あまりの暴言に怒りで我を忘れそう」

「(笑)」

「大丈夫。好きだったら好きって言うから」

「えー、そう?」

「そんなことないから!」

「うん、ないと思う」

「なんだろう……。きっと私たちが付き合ったら、絶対別れると思う」

「そう? なんで?」

「えー。こんなはずじゃなかった!!の繰り返し」

「どんな酷い奴なん俺!!」

「パソコンの前じゃ彼女を忘れたりする」

「でもまあそれは仕事やからね」

「うーん、私は私一番じゃないと嫌だから。仕事の次とか言われるの、嫌」

「仕事と私、どっちをとるの!?」

「いや、そのときは仕事でいんだけど」

「仕事かいな!」

「だけどなんというか……。優先順位だよね、大事なのは」

「……同じちゃぅそれ?」

「かな?……いや、あの、とにかく。話したかったことは特にないのよ」

「こんな長電話しといてないの?(笑)」

「うん、やっぱないや」

「あそう……じゃあそろそろ寝ようか」

「うんそだね。おやすみ」

「ああ、今日ありがとう。そういえば」

「いえいえ……おやすみ」

「おやすみぃ」