「佑希。何を辛気臭そうな顔をしてるんだよ」


マンションに入ろうとした時にあたしを呼ぶ声があった。


誰だろう?


そう思いながら声をした方を見るとそこにはお兄ちゃんがいた。



「あれ? お兄ちゃん! 鍵でも忘れたの?」


あたしがそう言うと、お兄ちゃんは怒鳴った。



「アホか! 俺はお前とは違うんだぞ」


お兄ちゃんが意味もなく待ってるなんて考えられなかった。


「だったら、なんで?」


お兄ちゃんは溜め息をつきながら答えた。