「ゆ、う……ん」


――――ドキッ。



まさかの名前に心臓が大きく跳ねる。

なぜそんな切なげに、俺の名前を呼ぶのだろう?




「ゅう、ちゃん…ど、こ……」


――――ドクン。



触れていた頬に伝う涙に、
先ほどよりも胸が大きく鳴いた。


ただ、俺の名前だと思っていたそれは、他人のことのようだ。




「ゆう、ちゃん……」



そっと呟く。


昔そう呼ばれていたこともあるが、
匡貴さんが俺に対してそんな呼び方するはずないから。


だからきっと、違う人のこと。



なのに、
どうしてか胸がざわつく。