木崎と出会った学校は当時荒れており、
不良生徒がよく暴れてはガラスを割ったり
OBがお礼参りにきたりと
パトカーを呼ぶこともしばしばだった。

木崎はそんな中いつも笑顔だった。
暴走族やらパトカーやらがきて
学校のあちこちで爆竹やらガラスの割れる音、ケンカの怒鳴り声が聞こえる状態だったから
不安そうな顔を一瞬見せることはあったが
その顔を誰にも見せないようにしていた様子だった。

虚勢を張る女だった。
本当は心を痛めているのに。
誰にも気づかれないように学校にいる不良たちとは違った意味で突っ張っていた女だった。

『大丈夫だよ、先生。あたし強いから』
何か相談に来るとあいつは決まってそういった。