「ちょっと……翼!」


翼はあたしの声が聴こえてないのか、どんどん引っ張っていく。

どこに向かうのか分からないまま、引っ張られっぱなしのあたし。


ギュッっと握られているあたしの手首。

少し痛い。

だけど、それ以上に胸の痛みがひどくて……。


……さっきの修ちゃんを思い出すと、キュッと締め付けられるように痛む。



「ねぇ、翼」

「………………」

「翼?」

「………………」

「翼ってば!」

「うわっ……あぁ、ごめん……。
何?」


ようやく足を止め、掴んでいた手首をそっと離してくれた。


「何って……。
あたし、ミーティングなんて聞いてないんだけど……」

「え、ミーティング?」

「え?さっきそう言ったじゃん」

「あ、あぁ……そういえば」



そういえばって……。