「おはよー」
「はよー」
廊下で交わされる、そんな挨拶。
あたしはそんな廊下を一人でトボトボと歩いていた。
……昨日の翼との帰り道。
あんなに気まずかったのは初めてだ。
ケンカした後だって、あんな風になったことはなかった……。
「はぁ……」
でも……あんなこと言われた後じゃ……まともに話せないよ……。
「泉、おはよ」
「あ、リナ……。おはよう」
後からやってきたリナと一緒に教室に向かって歩く。
「泉、何か暗くない?」
「え……そう?」
「うん。
……何かあった?」
そっか……。
今のあたしからはそんな暗いオーラが……。
「うん……まぁ……」
「中田のこと?
それとも……神沢?」
「……翼」
そっか……とリナが小さく呟いた。