翼side

部室の入り口近くの壁に寄りかかってケータイをいじりながら泉を待つ。

こんな風に泉のことを待つのは……いつぶりだろう。

しかも……なぜか緊張してる。


「バカだよな……俺」


分かってた。

告白なんてしたら、もう元の関係に戻れなくなることぐらい。

幼なじみという居心地の良い関係が壊れてしまうことぐらい……。


……それでも、もう気持ちを押さえることができなかった。

……何年片想いしてきたと思ってんだよ。


幼稚園の頃からだから……もうかれこれ十年以上。


でも、泉が俺に振り向くことはなかった。


中学で修平に出会って……それからずっと泉は修平の方を見ている。


修平が自分を見てくれることはないって分かっても、それでも諦めきれずにいる。


そんな泉の姿は……まるで俺自身を見ているようで……胸が痛んだ。