「何かあった?」

「あ、そのー……いや……」

「小田に何か変なことでも言われた?
アイツの言うことなんて無視していいからな。
まったく……アイツはいつもいつもサボって……。
そんですぐ後輩からかって遊び始めるし……。
本当、アイツが一番手がかかる……」


……久賀先輩、ご苦労様です。


小田先輩、いつもフラフラしてるからなぁ……。


「あ……先輩。
書き終わりました」

「お、マジ?」


あたしから部誌を受け取り、パラパラとページを捲る先輩。


「ん、オッケー。
いつもありがとな」

「いえ。
これが仕事ですから」

「ほーんと……どっかのチャラチャラした三年に比べ、何て健気なマネージャーなんだ……」


チャラチャラした三年って小田先輩かな?


「マジでありがとう。
翼待ってるから早く行ってやりな」


あ……そうだ。

翼……待ってるんだった……。


それを思い出した途端に緊張してきた。

何を話せばいいんだろう……。

何て言ったら……


「失礼します……」


そんなことを考えながら部室を出た。