「見てたって……アレ……。
うわー……マジか……。
今思えば、屋上って小田先輩の昼寝スポットだもんな……」


翼の顔は更に赤くなっていく。


「翼……?」

「でも……ま、いっか。
どうせ先輩達には俺の気持ちバレてたわけだし……」


突然、翼は開き直ったようになり、あたしに向き直った。


「俺、本気だからな」


まっすぐ……まるで射抜くような翼の視線。

それがあたしに注がれている……。


「こんなこと言って……泉を困らせるのは分かってる。
だから、まだ返事はいらない」

「え……?」


いらないって……。

翼はあたしの顔を見ながらフッと口元を緩めた。


「今返事貰っても、答えなんて分かりきってるから」


口元は笑っていても……その目は少し切なそうだった。


「でも、俺……絶対泉のこと振り向かせてみせるから。
……だから、待ってて。
俺、頑張るからさ」


翼は少し冗談めかしたように……でも、まっすぐあたしの方を見ながらそう言った。