「おー、翼。
どした?」

「どうしたじゃないっすよ!
先輩がサボるからキャプテン怒ってますよ!」

「あれ、マジ?
でも、翼が来た理由はそれだけじゃないっしょ」

「え?」


小田先輩はニヤリと怪しく笑った。


「心配しなくても大丈夫!
俺、後輩には手を出さない主義だから!」

「なっ……!!
ちょっ……小田先……」

「じゃあ、先に行ってるぞー!」

「先輩!!」


小田先輩は楽しそうに笑いながらグラウンドの方へと走っていった。

残された翼は顔を赤くしながら走っていく先輩の背中を見ていた。

そして、ゆっくりと顔を赤くしたままこっちを見る。


そんな翼の顔を見て、あたしまで顔が熱くなってきた。


「えーっと……先輩……何か言ってた?」

「え?
あ……うん。
あの時……見てたって。
屋上で……」

「……え゛?」


翼は一瞬固まった。